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<自省録とは何か?>
自分にとっては「こころの二層式洗濯機」のような本であった。
ご存知二層式洗濯機とは、「洗い」「すすぎ」槽と、「脱水」槽が分離されている洗濯機のことである。
機能は単純で一見面倒なようにも思えるが、
- 分け洗いが簡単→大量洗濯の際は時間短縮
- 汚れ落ちが途中で確認出来る
という点でのadvantageもあり、いまだに根強い支持を得ている。(らしい。)
一方の本書も同じような文章が繰り返し続いており面倒にも思える。しかし、
という点で読者からの支持を集め、今でも根強い人気を誇っている。「一見面倒だが、経験すると心地よい。」という共通項が両者に見出せはしないだろうか。
<自省録をどの様に読むべきか?>
極論ではどの様に読んでも構わないのだと思うが、、、
私は荻野弘之氏の解説本での「変奏曲を聞く様に読むべし。」という主張に賛同したい。
本書は、「日記」「覚書」「アフォリズム」と多面的であり、反復や重複が散見される。これが面倒に思う要因にもなっている。しかし、この多面性、反復こそがストア派哲学の「規則」の変奏の軌跡であり、実践への展開の集積に他ならない。この点こそが本書の最大の魅力といっても過言ではないだろう。
<権内と権外とその運用>
ストア派哲学のキーコンセプトである「権内-権外」という概念は、本書でも色濃く反映されている。
- 権内:自分自身コントロール可能なもの ex) 判断、意欲、欲望、忌避
- 権外:自分自身でコントロール不可能なもの ex) 身体、財産、評判、官職
権内だと自覚する事で自分を律する事が出来る、権外だと割り切る事で得られる心の平静がある。素晴らしい概念だと思う一方で、権外だと割り切る事で、成長のチャンスを放棄することにもなりかねないかと危惧する。ストア派哲学的に考えれば、「我々は権内と権外の境界線をどの様に引くかという選択を常日頃迫られている。」と考える事が出来るだろう。
将来ハゲるか否かは権外の問題だからと何のケアもしないAさんと、確かに権外の問題だが出来る事はあるはずと、規則正しい生活とヘアトニックでのケアを心がけるBさん。
大事なのは「whatからどの様なhowを導き出すか」、つまり「理論をどの様に実践、運用するか」である。
私が愛読させて頂いている著作家の田坂広志氏の「戦略と戦術の垂直統合」というフレームにもつながるのではないかと思う。
とにもかくにも、TPOをわきまえた線引きを心がけたいものである。これは権外と権内に限った話しではない気もするが。。。
<岩波読書会>
2011.01.10に行われた「岩波&名著読書会in東京」の前座をつとめさせて頂いた際の『自省録』のスライドをアップしました。かなりoriginalityが強くて恐縮ですが。ご指摘、ご意見等のフィードバック大歓迎です。
本書との出会い、プレゼンの機会をくれた@The_Happy_Worldさん、知的刺激に満ちた時間を共有させて頂いた参加者の皆様に感謝☆
<参考文献>
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